診療科

整形外科専門外来

膝関節外来

膝関節外科とは

膝関節外科では、スポーツ外傷である膝前十字靭帯損傷・半月板損傷や、変形性膝関節症(加齢に起因する膝の変形・痛み)を主な対象として治療を行っています。

治療方法

治療は投薬や関節内注射による保存治療、装具療法、リハビリテーション等がありますが、それらを行っても良くならない場合には手術を行います。 スポーツ外傷に対しては、関節鏡を用いた手術(鏡視下前十字靭帯再建術、鏡視下半月板縫合・部分切除術)を行っています。 変形性膝関節症に対しては、年齢・活動性・膝変形の程度を考慮して、高位脛骨骨切り術(HTO)、単顆型人工膝関節置換術(UKA)や人工膝関節全置換術(TKA)を数多く行っています。

脊椎外来

脊椎脊髄外来のご案内

脊椎は体を支える背骨であり、脊髄神経を保護する骨性のトンネルである脊柱管を形成しています。外傷や加齢による変化が原因で、脊柱管が狭窄したり、脊柱が不安定になったりすると、脊髄神経に障害が生じ、四肢のしびれや疼痛、歩行障害などの多様な症状が現れることがあります。
当院では、日本脊椎脊髄病学会認定の脊椎脊髄外科指導医(専門医)が2名在籍しており、専門的な外来診療を提供しています。2024年度には筑波大学整形外科前教授の山崎正志先生が新たに着任し、外来および入院診療を担当しています。
手術治療にも力を入れており、2021年から2023年の間に年間約210件の脊椎手術を実施しました。手術の安全性向上のため、神経モニタリングや脊椎手術用顕微鏡、フルカーボン手術台、最新の外科用イメージングシステムなどを新たに導入しています。
また、骨粗鬆症の治療にも幅広く取り組んでおり、2024年夏には最新の骨密度測定装置(DEXA法)を導入しました。椎体骨折(圧迫骨折)は初期治療が重要であり、初期対応を誤ると遅発性の神経障害や脊柱後弯(背中の曲がり)が生じる可能性があります。紹介状のない初診も受け付けておりますので、お困りの際はぜひ外来受診をご検討ください。外来診療の日程については、当院のウェブサイトでご確認いただけます。

腰椎椎間板ヘルニアに対する新しい椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)

椎間板内酵素注入療法とは? 椎間板内酵素注入療法とは、椎間板内に酵素を含んだ薬剤を直接注射して、ヘルニアによる神経の圧迫を弱める方法です。 当院では、この椎間板内酵素注入療法にヘルニコアという薬剤を使用します。こちらの治療法は手術と比較して患者様への身体的負担が小さいのが利点です。 当院では日帰り(経過観察時間も含めて3-4時間)で実施しております。 ※本治療は適応が限られておりますのでヘルニアのタイプや症状により、他の治療方法をお勧めする場合がございます。

ヘルニコアについて

背骨と背骨の間のクッションの役割を持つ椎間板の内部には、髄核という組織があります。この髄核が後方に飛び出て、神経を圧迫するのが椎間板ヘルニアです。 ヘルニコアはヘルニアを起こしている髄核に直接注射して治療を行います。 髄核には保水成分が豊富にあるため、ヘルニコアを髄核に注射することで、有効成分のコンドリアーゼが髄核内の保水成分を分解し水分によるふくらみを和らげます。 結果として、神経への圧迫が改善し、痛みやしびれなどの症状が軽減すると考えられています。

股関節外来

股関節外来診療のご案内

股関節とは足の付け根の関節です。 主な症状としては、歩行時の痛みや、ゴリゴリ音がする、股関節が曲げにくく靴下が履きにくい等があります。 当院では筑波大学股関節外科三島医師協力の下、股関節疾患に対する診療を行っております。 手術治療として変形性股関節症や関節リウマチに対する、人工股関節置換術を行っております。 近年の手術手技の洗練、人工関節の改良によって、昔と比べ短い入院期間で安定した長期成績の期待できる手術治療が可能となっております。 当院での手術件数も下記の通り年々増加傾向にあります。

人工股関節全置換術(THA)

2023年 57件
2022年 57件
2021年 60件
2020年 57件

股関節外来担当医

三島 初(みしま はじめ)
非常勤医師 筑波大学整形外科准教授 日本股関節学会評議員
*三島医師の専門外来につきましては、事前にお問い合わせ下さればスムーズに受診いただけます。

肩関節外来

肩関節外来のご案内

肩関節専門外来は、専門医が少ないこともあり、県内でも少数にとどまります。
当院では、肩関節のエキスパートである埜口医師協力の下、肩関節疾患に対する診療を行っております。
手術治療では、腱板の修復や反復性脱臼に対するBankart修復術を肩関節鏡視下に行っています。また、腱板断裂が古く大きくなりすぎて修復不能となったり、関節が変形してしまった場合は、RSA(リバース型人工肩関節全置換術)も行えます。このRSAを行うには認定医でないと行えず(埜口医師が保持)病院も認定が必要で、茨城県内では限られています。

肩関節外来担当医

渡部 大介(わたべ だいすけ) 水曜 午前  金曜 午後
埜口 博司(のぐち ひろし) 木曜 午後
非常勤医師 水戸赤十字病院整形外科部長
※埜口医師の専門外来につきましては、事前にお問い合わせ下さればスムーズに受診いただけます。

PRP外来

変形性膝関節症に対する多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma: PRP)関節内注射治療について

受診について

2019年1月18日より、PRP療法を開始いたしました。 PRP療法は、完全予約制の外来となっております。 予約につきましては、下記までお問合せください。 電話番号:029-864-0303 お問合せ時間:平日(月曜~金曜)15:00~16:30

PRPとは

患者様自身の血液を遠心分離した後に、血小板を多く含む血漿部分(血液の中の液体成分で、糊のような役割をもつタンパク質や、成長因子という栄養成分を含む)を抽出したものが、PRPです。血小板は止血機能以外に、その中に豊富な成長因子(栄養因子、細胞の機能を発揮させたり、細胞同士のネットワークをつなげたりする役割)を含むことがわかっています。 日本では歯科・口腔外科や形成外科の領域で、骨形成(骨を作る)や創傷治癒(傷を治す)治療に応用されてきた歴史があり、欧米では、スポーツ選手の筋肉・腱などの外傷・障害治療に応用されています。近年、変形性膝関節症患者の方に対するPRP関節内注射の膝関節痛軽減効果が示唆されています。

当院で使用するPRP

患者様が手術を受けた際に術後の痛みに対して痛み止めが使用されます。痛み止めには様々な種類があり、その作用機序は痛み止めの種類によって異なり、様々な痛みの病態に対して痛み止めを使い分けて使用しています。この痛み止めの例と同様に、調製方法によって得られるPRPの種類(生物学的特性)は異なります。 当院では、次世代のPRPと呼ばれるAPS(Autologus Protein Solutim)を使用しています。 これは通常用いられてきたPRPよりも痛みや炎症を抑えるたんぱく質が数十倍多く含まれていると報告されています。

実際の治療の流れ

末梢血(55mL)を採血しPRPを調製(院内施設)、2.5~3.0mLを関節内に注射します。 整形外科外来にて日帰りで実施します。 採血⇒2回遠心分離⇒抽出⇒注射⇒20~30分安静⇒帰宅

治療後の流れ

  • ・注射後2-3日間は激しい運動をしないでください。
  • ・日常生活動作は注射当日から可能です。
  • ・治療の経過観察のため、2週間・1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月その後は3ヶ月おきに外来受診をして頂きます。

Q&A

PRPには遠心条件や回数、白血球保有の有無により様々な種類があります。当院で使用しているPRPはGPS-ⅢとAPSです。 GPS-Ⅲについては、白血球を多く含むPRP(Leukocyte Rich PRP:LR-PRP)に分類され、成長因子と白血球を多く含み主に腱付着部症や腱炎、靱帯損傷に使用します。 APSは、Autologus Protein Solutimの略称です。GPSなどの通常のPRPに比べて痛みや炎症を抑えるタンパク質が数十倍含まれています。変形性膝関節症患者の方に使用します。
主に変形性膝関節症の中等症までの方が適応となりますが、患者様御本人の血液を使用するため注射出来ないケースもあります。 ご希望の患者様は、PRP外来を予約頂き一度お話をお伺いさせてください。
PRPの治療自体は自費診療になります。治療を行う上での検査等は保険診療です。
治療までの流れ (1)初診、適応判断 (2)PRPの説明、同意書取得、MRI撮影 (3)PRP施行 (4)2週間・1か月・3か月・6か月で外来受診、注射後6か月でMRIを再度撮影します
変形性膝関節症に対するAPS関節内注射治療が日本に導入されてまだ1年程度と日が浅い為効果持続期間については不明ですが、海外からの報告では1年程度は効果があったとされています。
※その他ご質問がございましたら、当院までご連絡下さい

体外衝撃波治療外来(ESWT)

衝撃波とは

「音速を超えて伝播する圧力波」 自然界では火山の噴火や雷、超音速飛行する戦闘機やロケットでも生じる

体外衝撃波治療の歴史

1980年 尿路結石破砕治療(Chaussy et al. ) ~上部尿管結石治療の第一選択
1980年代 運動器障害に対する基礎研究
1990年 欧州で整形外科領域への応用
2012年 日本で難治性足底腱膜炎に対して保険収載 その他のスポーツ障害に対しては自由診療

ESWTの原理

標的部位等に衝撃波を照射 局所の組織が変性 治癒機転が働く
正常に治癒している最中のものは対象外

当院の体外衝撃波装置

Focus Shock Wave
痛みの原因部位に最も高いエネルギーを照射。 DUOLITH SD-1® (STORZ MEDICAL)

ESWT 適応疾患

(保険適応)難治性足底腱膜炎
国際衝撃波治療学会(ISMST)適応疾患(参考)
  • ・足底腱膜炎
  • ・アキレス腱炎
  • ・上腕骨外側上顆炎
  • ・石灰沈着性腱板炎
  • ・腱板炎
  • ・膝蓋腱炎
  • ・大転子部痛
  • ・骨折遷延治癒
  • ・疲労骨折
  • ・偽関節
  • ・(早期の)無腐性骨壊死
  • ・(早期の)離断性骨軟骨炎

治療の特徴

  • ・1回の治療時間は15-30分ほど
  • ・1-2週おきに複数回治療を行う事が多い
  • ・治療中、照射部位には痛みが伴います 痛みの範囲内で出力を上げていきます
  • ・麻酔は不要
  • ・治療後は治療前と同様の生活が可能
  • ・スポーツ選手の場合、翌日よりトレーニング可能

ESWTの合併症

  • 照射中の痛み 79.3%
  • 腫脹 3.5%
  • 知覚障害 1.8%
  • 末梢神経炎 1.8%
  • (Kudo. 2006)
重大な合併症は極めて少ない

治療費用

難治性足底腱膜炎の場合(保険診療)
自己負担額(初回) 15,000円 2回目以降については医師と相談
上記以外の疾患の場合(自費診療)
自己負担額(初回) 15,000円 (2回目以降)     5,000円
  • ※ 施術は完全予約制です
  • ※ 自費診療の場合は処方や処置は同時に行えません
  • ※ 治療の適応は医師が判断します
  • ※ 治療ご希望の方は診察の際に申し出てください